着物お仕立て&お直し.com 、一級和裁技能士の西澤伸弥でございます
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珍しい十徳のご注文です・・・十徳は、鎌倉時代頃より様々な変遷をたどり、用途や着用対象者が移り変わっていますが、現代では僧侶や茶道の宗匠などが用いる姿しか見かけなくなりました
独特の形状をした広袖の羽織で、前を止める紐は共布で作り、直(じか)に縫い付けます
千鳥かがり(千鳥掛けともいいます)は、糸を斜めに交差させながら左から右へ進むかがりの一種です
イラストは、フツーの千鳥かがりの手順をご説明したものですが、紐を配する方向は今回のそれと同じです
通常、千鳥かがりは細い紐で布をかがっていくのですが、今回は太い紐を使用するため、かがらずに1寸間隔で縫い付けていくことになりました
千鳥かがりのルーツ(Root)は中国で、それが日本に伝わったと言われています
今回、初挑戦の千鳥かがり、紐かがり、袖底のダミー紐付けに要した時間は約16時間掛かりました・・・只々、忍の一字でした(笑)
十徳の袖は独特の形状をした広袖です・・・今回はご注文により「大名袖」にように仕立てました
袖底に付いている紐は、本来は狩衣(写真下)のように紐を引けば巾着のように袖口が狭まるようにするのですが、今回はご注文により見せかけ(ダミー)としました
余談ですが、平安時代以降の公家の普段着である狩衣(かりぎぬ)の前袖は、かがられておらず、後ろ袖だけが千鳥かがりで留まっています
これは日本の気候が高温多湿なため、前袖をかがらないことにより、ベンチレーション(Ventilation=換気)効果を狙って形が変化したと言われています
本来、十徳の紐は、裾に届くほどの長さにするのですが、今回はご注文で1尺5寸(57cm)としました
道行コートを道中着へ/お仕立て 大阪府 A.H様
小紋袷衣/お仕立て 東京都 K.M様