着物お仕立て&お直し.com、一級和裁技能士の西澤伸弥でございます
いつもご覧下さり、ありがとうございます
結婚式に御祖母様の黒留袖をお召しになられるということで、裄直しと駒刺繍の補修を承りました
裄を長くするにあたり解いたところ・・・縫込みが少なかったので、袖を一から作り直すことになりました
まずは、ほどけてしまった駒刺繍の修復からです
駒刺繍とは、太い金糸や銀糸を細い綴糸(とじいと)で縫いつけた刺繍技法のひとつで、主に縁取りなどに使われます
金糸を使った「金駒刺繍」、銀糸を使った「銀駒刺繍」、色を使った「色駒刺繍」などがあります
写真下の道具は、「てこ針」と言い、金糸や銀糸などの平糸のねじれを直したり、艶を出したり、糸をしごくために使用します
孔雀を形どった銀糸以外のも、あちこちの金糸がほどけていました
刺し終わった後、布の裏側から糊を付けて、平らな金糸や銀糸がねじれないように固定します
そして、上から鹿革でなめして金糸をピタッと生地に密着させることにより、金糸の風合いを出します
裄直しは一分でも長くするために、一旦、袖をすべて解いて一からお仕立ていたしました
また、身頃の比翼も裾から見えていましたので、一旦外して、付け直しました
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